熱傷、外傷、手術に伴う瘢痕性脱毛で悩んでる小児の患者さんは決して少なくないです。
形成外科医はその治療にあたり、エキスパンダーや皮弁による治療が多く選択されます。
良い結果をもたらしますが、治療の侵襲が大きく長期間の通院が必要となります。
その一方で植毛手術はエキスパンダーや皮弁ほどは大きな侵襲はないことが多いです。
植毛手術も瘢痕組織に可能であり、良い選択肢になると思っていました。
数少ないcase reportが掲載されていたので共有します。
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概要
バックグラウンド
瘢痕性脱毛症は、子供たちに大きな影響を与える可能性があります。瘢痕治療には、毛包単位切除(FUE)と毛包単位移植(FUT)が適用されています。
目的
この研究は、小児の瘢痕性脱毛症の治療における毛包単位植毛の安全性と実現可能性を評価することを目的としています。
患者と方法
この研究には、5歳2か月から12歳10か月の範囲の瘢痕性脱毛症の合計9人の子供(男性7人と女性2人)が含まれていました。瘢痕形成期間は7ヶ月から5年の範囲でした。部位は、頂点(2)、眉毛(3)、前頭生え際(3)、および側頭領域(2)でした。
結果
このグループの9人の子供は、次の治療オプションで6〜34か月間追跡されました:FUE(5例)、FUT(3例)、およびFUTとFUEの組み合わせ(1例)。治療中に重大な合併症は観察されなかった。移植された毛髪はよく成長し、方向と形は満足のいくものであり、生存率は> 90%でした。
結論
手術後の火傷性外傷および瘢痕性脱毛症の子供にとって、植毛は、手術のリスクが低く、患者の満足度が高い状態で、外観を大幅に改善することができます。
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論文内では写真も掲載されておりかなり良い結果を伴っていました。
小児に対する治療は身体的成長を考慮する必要があり、決して簡単なものではありません。
レポートとレビューが繰り返され選択肢の一つとして広がっていけば良いと考えます。
参考文献
Jin, Fei, et al. “Treatment of scarring alopecia in children using follicular unit hair transplantation.” Pediatric Dermatology (2022).