要点
・ミノキシジル外用薬の継続率は13.7%と低い
・治療中断には副作用の発生が関連。かゆみ、多毛、脱毛増加など
・1年以上の使用と自覚的な発毛改善が継続に重要
・治療前の副作用の説明と対処法の提示、早期介入が必要
男性型および女性型脱毛症(AGA)は、50歳までに男性の半数、女性の20%以上に発症する一般的な脱毛症です。ミノキシジル外用薬はAGAに対するFDA承認薬ですが、有効性は限定的で長期的な使用が必要とされています。
本研究では、AGA患者400名(平均32.4歳、女性66.5%)を対象に、ミノキシジル外用薬の継続率と中断理由を後ろ向きに調査しました。
その結果、ミノキシジル外用を中断した患者は86.3%に上り、継続率はわずか13.7%でした。副作用があった場合の中断率は93.6%で、ない場合の75.8%より有意に高くなりました。最も多い副作用は、かゆみ(13.8%)、顔の多毛(12.3%)、脱毛増加(9.8%)、脂漏の悪化(9.5%)でした。
一方、1年以上の使用と自覚的な発毛改善が、中断率を有意に低下させる独立した因子であることがわかりました。使用期間が長いほど自覚的改善率が徐々に上昇し、1年以上で43.8%に達しました。
以上より、AGAに対するミノキシジル外用薬の臨床使用は、副作用がない場合でも継続率が著しく低いことが示されました。
治療前に、効果判定には最低12ヶ月の使用が必要なこと、起こりうる副作用とその対処法について十分に説明し同意を得ることが重要です。またかゆみや脱毛増加など副作用のモニタリングを行い、早期に適切な処置を行うことで副作用を軽減し、アドヒアランスの向上につなげることが必要と考えられます。
長期的な使用の継続が発毛効果の実感につながるため、副作用対策を講じつつ、根気強く使用を続けるよう働きかけることが肝要といえるでしょう。
引用文献
Shadi, Zari. “Compliance to topical minoxidil and reasons for discontinuation among patients with androgenetic alopecia.” Dermatology and Therapy 13.5 (2023): 1157-1169.