須毛部仮性毛包炎(pseudofolliculitis barbae)の病態と治療

要点

・須毛部仮性毛包炎は、髭剃り後の埋没毛による炎症性疾患

・アフリカ系男性に多く、有病率は45-83%

・炎症後色素沈着や瘢痕、膿瘍を合併することも

・治療の基本は、髭剃りの回数を減らし、正しい剃毛法を指導すること

・難治例には、局所抗菌薬、ステロイド外用、レーザー治療が有効


须毛部仮性毛包炎は、髭剃り後の埋没毛による炎症性疾患です。毛が皮膚内に向かって成長し、炎症を引き起こします。特にアフリカ系男性に多く、有病率は45-83%と報告されています。

臨床的には、頬、頸部、顎下部に毛嚢一致性の丘疹や膿疱が多発します。瘙痒や灼熱感を伴うこともあります。慢性期には、色素沈着や瘢痕、膿瘍を合併することもあります。

病態には、毛の形状や皮膚の解剖学的特徴が関与しています。捻転した毛髪が皮膚に再侵入しやすく、また黒人男性では毛嚢が皮膚表面に対して斜めに走行しているため、埋没毛が生じやすいと考えられています。


治療の基本は、髭剃りの回数を減らし、正しい剃毛法を指導することです。十分な保湿と、毛流に沿った剃毛、鋭利な刃の使用が推奨されます。電気シェーバーの使用も有効です。

難治例には、局所抗菌薬やステロイド外用薬が用いられます。oral isotretinoinや経口抗菌薬の有効性も報告されています。また、レーザー脱毛により良好な結果が得られたとの報告もあります。Nd:YAGレーザーやダイオードレーザーによる脱毛で、炎症の改善と再発抑制が期待できます。

须毛部仮性毛包炎は日常的に遭遇する疾患ですが、QOLの低下をきたすこともあり、適切な指導と治療が必要です。病態を理解し、患者背景に応じた治療法の選択が重要といえるでしょう。

引用文献

Ogunbiyi, Adebola. “Pseudofolliculitis barbae; current treatment options.” Clinical, cosmetic and investigational dermatology 12 (2019): 241.

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