最近、男性型脱毛症に対する低用量経口ミノキシジルへの関心が高まっています。ブラジルの研究グループが、1日1回5mgの経口ミノキシジルと1日2回5%外用ミノキシジルの24週間の治療効果を比較検討しました。この二重盲検ランダム化プラセボ対照試験の結果をまとめます。
方法
- 対象は18-55歳の男性型脱毛症(Norwood-Hamilton分類3V、4V、5V)の男性90名
- 1日1回5mg経口ミノキシジル+外用プラセボ群と、1日2回5%外用ミノキシジル+経口プラセボ群にランダムに割り付け
- 主要評価項目は前頭部と頭頂部の終末毛密度の変化、副次評価項目は総毛髪密度の変化と写真評価
結果
- 68名(経口群33名、外用群35名)が試験を完遂し、平均年齢は36.6歳だった
- 24週後の終末毛密度と総毛髪密度の変化量に、両群間で有意差はみられなかった
- 頭頂部の終末毛密度の増加率は、経口群で外用群より有意に高かった(27.1% vs -5.6%, p=0.005)
- 専門医の写真評価では、頭頂部での改善度が経口群で有意に高かったが、前頭部では差がなかった
- 経口群の主な副作用は多毛症(49%)と頭痛(14%)だった
考察
この試験では、1日1回5mgの経口ミノキシジルの男性型脱毛症に対する24週間の効果が、1日2回5%外用ミノキシジルと同等であることが示されました。頭頂部においては経口ミノキシジルの方が優れている可能性が示唆されました。また経口ミノキシジルは忍容性が高く、外用剤を好まない患者や外用療法に不耐性の患者の選択肢になり得ます。
ただし、この試験にはいくつかの限界があります。単一施設での実施、比較的小さなサンプルサイズ、かなりの割合の追跡率低下などです。特に**症例数が十分でないために有意差が検出できなかった可能性は否定できません。**今後、より大規模で長期的な比較試験が必要と考えられます。
それでも本研究は、男性型脱毛症に対する経口ミノキシジルと外用ミノキシジルを比較した初めての二重盲検ランダム化比較試験として意義があります。経口ミノキシジルは有望な治療選択肢であり、今後の発展が期待されます。
参考文献
Penha, Mariana Alvares, et al. “Oral Minoxidil vs Topical Minoxidil for Male Androgenetic Alopecia: A Randomized Clinical Trial.” JAMA dermatology (2024).