植毛手術後に移植毛がくせ毛になる患者さんは少なくありません。
国際毛髪外科学会の機関紙であるFORUMに組織学的に検討している記事が記載されていましたのでまとめます。
内容は以下です。
方法
3年前に他院で自毛植毛を受けた患者が、当クリニック受診した移植部分の密度が低いという訴えがあった患者に対して調査が行われた。
前額部縮小術を行い、額の高さを下げると同時に移植部位の切除が行われた。
移植部切除時に重度のくせ毛の一部を採取しその状態を観察された。
結果
近縁毛の毛根に沿った線維性組織を認めた。また毛球の歪みが観察された。
皮下の線維性組織の存在も確認された。
考察
我々は通常、移植後の近畿圏の毛髪について、瘢痕化について言及する。
皮下層の瘢痕はおそらく真皮の傷よりも、むしろ変質毛の原因となる。
皮下に形成された線維性組織が移植された毛髪を圧迫するため毛包の変形を引き起こす。休止期以降に成長した毛包は、瘢痕に出会って変形する可能性が高いが下向きに成長し、無毛期に入るときに、その組織が破壊される。その結果、球根が変形し縮毛の原因となる。
したがって、移植時の組織損傷を減らすことは非常に重要である。
炎症は瘢痕形成を悪化させるので、炎症を抑えることが有効かもしれない。
感染症や出血など、炎症を引き起こす要因となりうる。
結論
自毛植毛後の毛包周囲の瘢痕は、毛包の変形を引き起こし、その結果、移植毛が縮毛になるのである。
従って移植を受けた部位の瘢痕を軽減することは、近毛の予防に不可欠である。
植毛手術において、いかに低侵襲で出血や炎症を抑えることが重要かということが組織学的にも示されました。
やはり、出血を抑える努力をしない、よく議論になるホールスリットを行うような手術は避けるべきと言えるかもしれません。
参考文献
Park, Sooho, et al. “Histological Analysis for the Cause of Kinky Hair after Hair Transplantation.” Hair Transplant Forum International. Vol. 32. No. 1. Hair Transplant Forum International, 2022.