男性型脱毛症、女性型脱毛症の治療選択肢の一つとして経口ミノキシジルがあります。
日本皮膚科学会ガイドライン(2017年度版)では十分な安全性が検証されていないことからD(行うべきでない)に分類されていますが、近年副作用の発生頻度等にも検証がされ特に海外では一般的に処方が行われるようになってきています。
経口ミノキシジルの副作用として一番有名なものは多毛症です。
今回、皮膚科系雑誌のJournal of the American Academy of Dermatologyに経口ミノキシジルの多毛症の特徴について検証したレターが掲載されていましたので知識を共有します。
経口ミノキシジルは、米国食品医薬品局が承認した高血圧治療薬であり、標準用量は1日10〜40 mg(最大100 mg)です。
0.25〜5 mgの低用量経口ミノキシジルは、さまざまなタイプの脱毛症の適応外治療として、標準的に使用されてきており、多毛症が最も頻繁な副作用です。
著者の研究の目的は、経口ミノキシジル誘発性多毛症の特徴と管理を説明することです。
この研究はスペインの医療機関で経口ミノキシジル治療中に多毛症を発症した患者に対して評価が行われました。
多毛症のFerrimen-Gallway scoreを改良してスコアリングし評価を行いました。
対象は105人、平均年齢は39.4歳でした。98人が女性、7人が男性でした。
85人(81%)の患者でもみあげに、77人(73%)にこめかみに多毛症が認められました。
また経口ミノキシジルの容量に依存して多毛症が出現している(p<0.01)ということがわかりました。
経口ミノキシジルによる多毛症は特に女性で頻繁に発生する副作用であり、大きな関心が寄せられます。多くがそれを許容される程度のものであるということもわかりました。
経口ミノキシジルは容量依存性に脱毛症に対する効果はありますが、その分、多毛症を引き起こす可能性が高くなります。
そのため筆者は経口ミノキシジルを1日0.5mgの容量で開始し多毛症の程度に応じて3ヶ月ごとに漸増させることを提案しています。
結論として経口ミノキシジルに関連する多毛症は3ヶ月で出現し、もみあげや、こめかみに影響を及ぼします。
上記が内容です。
経口ミノキシジルは特に治療選択肢の少ない女性型脱毛症の治療において重要な存在です。
予め、副作用の筆頭である多毛症を患者さんに説明することにより、適切な治療の継続につながると考えられます。