今回、毛髪の分野からは外れますが、Plastic and reconstructive surgeryより下記の論文を読みましたので知識を共有します。
このサイトの趣旨は毛髪についてですが、Tissue engineeringの分野は毛髪再生に大きく関連するためそちらにも目を向けていきます。
背景として重度の機能的障害および形態学的に病的状態につながる脂肪組織の欠陥に対して脂肪移植がしばしば行われます。しかし脂肪移植は壊死や吸収、嚢胞形成等のリスクを伴います。
この研究はどのような環境下(足場として)優れているか比較検討したものです。
方法としてはラットを使用しています。
非侵襲性の吸引デバイスとHuman Adipose matrixを組み合わせて使用しコントロール群と比較検討を行っています。
結果としてはHuman Adipose matrixと非侵襲性の吸引デバイスを組み合わせて使用すると、単純に自家脂肪移植した群と比較して体積の保持(12週のフォローアップで50-80%高い)と再建組織の組織学的安定性が大幅に改善された。
またHuman Adipose matrixは脂肪生成と血管新生をサポートすることが示されました。
結論としては、Human Adipose matrixと非侵襲性の吸引デバイスが相乗的に脂肪移植の結果を改善させることが示唆されました。これらの治療法は、簡便に臨床試験で検証が可能で、再建分野に置いて基礎を確立させる可能性を著者は述べています。
私自身も実際の臨床現場で陰圧閉鎖療法は多く使用し、形成外科分野ではなくてはならないデバイスです。
幹細胞やゲノム領域での治療が非常に注目を浴びていますが、このような非侵襲的なデバイスは臨床応用が現実的かつ容易であり、組織工学の分野をより一層盛り上げていくことは間違いないと考えます。